スランプの対処法、目標の見つけ方…トークショーで語った金メダリストの哲学

 平昌五輪スピードスケート女子500メートル金メダルの小平奈緒(相沢病院)が「Naoの哲学」でファンをうならせた。22日、名古屋市内で行われたアイウェアブランド「オークリー」の新店オープンイベントに登場。ファン30人の前でトークショーを行い、スランプの対処法、目標の見つけ方など、独自の考えを明かした。

 言葉一つ一つに“らしさ”が溢れていた。トークショーの質疑応答。「スランプの時、モチベーションをどう上げるか」。こんな質問に対し、小平は冷静に言葉をつないだ。

「転倒が続いたシーズン、記録に結びつかないシーズンというのは何を信じていいか、分からなくなる時がある。そういう時、私が目指したい場所はどこなのか、それがはっきりしていると、失敗しても成功しても、それが『私にとってすべて正解』と思える。たとえ、その時はダメかもしれないけど、必ず近くに見てくれている人がいる。そういう人たちと一緒に頑張れば、どんなスランプも乗り越えられると思っています」

 小平が目指すもの。それは五輪金メダルという目に見えるものにとどまらない。「究極の滑りを目指したい。金メダルの先にあるもの。そこをぶらさない、信念を曲げない、ということにはこだわっていたと思っています」と胸を張った。そして、中学生の娘を持つ親から「物事を頑張らせるコツはあるか」という問いには、こう答えた。

「一生懸命頑張ることが自己満足だけで終わってしまうとつまらないと思う。たくさんの人に影響を与えられるかなと思って頑張ると、自分が思う2倍頑張れるんです。与えるというより届くといいな、という気持ちを持つこと。そうすると、私は皆さんに応援していただいて、私も皆さんを応援するというサイクルができる。私も勇気をもらえるし、私も勇気を届けることができると思うと、みんなで頑張れる。一人じゃない関係が頑張り方のコツじゃないかなと思います」

座右の銘「与えられるものは有限、求めるものは無限」の意味とは…

 金メダリストの独自の哲学にファンも思わず、うなるばかりだった。そんな小平の座右の銘とは――。イベントではサングラス型のボードに直筆でしたためた。

「与えられるものは有限、求めるものは無限」

 ソチ五輪でメダルを逃し、進化を求めて渡ったスケート大国オランダ。異国の地で自転車をこいでいる時にしみじみと自分の生活を振り返り、思い浮かんだ言葉だという。自分の道は求めさえすれば、無限にチャンスは広がる。しかし、与えられているものにはありがたみを感じる一方、限りもある。そんな言葉が、競技人生の支えになっている。

 ただ、世の中には目標が見つからずに悩んでいる若者も多い。しかし、小平は「目標が見つからないのではなく、目標に踏み出す勇気が持てないんじゃないかなと思います」と言う。「本当にそれと真剣に向き合いたいと思うことが大事。そっと胸に手を当ててみれば、心の中には必ず、目標があるものだと思います」。自分の心に嘘をつかないことが必要と考えている。

 イベントでは、自身の今後の目標について「究極の滑りを磨いていくこと。その先に500メートルの世界記録が見えてくる」と“無限”の未来に視線を向けた。母の実家があり、なつかしさを感じたという名古屋の地で残した金言は、多くの人に自然と勇気を与える力強さが宿っていた。(THE ANSWER編集部)

名古屋市内で行われたイベントでファン30人を前にトークショーを行った小平奈緒【写真:荒川祐史】


(出典 news.nicovideo.jp)


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